• 内藤博久

事業再開を目指す雇用主のコロナ感染対策プランの策定義務(ポッドキャスト前半)

2020年7月10日に配信したポッドキャストの概要を以下に載せます。

まだ聞いていない方はぜひ、こちらからどうぞ。

https://anchor.fm/u5185u85e4u535au4e45/episodes/ep-eggiu0


<概要>

本ポッドキャストは、前半後半の2部構成で、「事業再開に向け、雇用主が留意すべき点や抱えている疑問」について解説しています。

  • 政府のガイドラインに沿った安全プランを策定するにはどうするのか(前半)

  • 従業員が安心するプランとはどういったものか(前半)

  • 安全プランや、従業員の安全確保が不十分な状況で事業再開をした場合、企業にはどのような法的リスクがあるのか(後半)


1.事業再開と安全プラン

CDC(米国疾病管理予防センター)は、事業再開を目指す企業に対し、感染のリスクから従業員を守る体制を整えるよう、要請しています。つまり、安全プランの策定は、事業再開には欠かせないのです。また、連邦政府機関のOSHA(労働安全衛生局)、そして州政府や、カウンティ(郡)、市といったローカル政府からも、雇用主が守るべきガイドラインがそれぞれ発信されています。しかし、安全プランは、ただあればいいものではありません。従業員が「安心して仕事ができる」内容である必要があります。そして、この従業員目線の安全プランの策定こそが、将来的な訴訟リスクを避けるものとなります(この点については、ポッドキャスト後半でお話しています)。


2.不十分な安全プランとは

よく陥りがちな不十分な安全プランには、おおむね2パターンあります。


パターン① 雛型をそのまま採用

  • 1つ目の不十分なプランのパターンは、州、カウンティ、市から出される安全プランの雛形をそのまま使っているパターンです。多くの場合、雇用主は、このチェックボックス式のテンプレートを用いて、事業再開の安全対策の項目を確認します。しかし、この雛型は、あくまで雇用主向けです。

  • 安全プランとは、「従業員に語りかける」文体であるべきだと私は思います。それは、新型コロナ対策における安全プランが、従業員とのコミュニケーションツールであるべきだからです。必要に応じて対応を変えたり、項目の追加を図りながら、少しずつお互いの不安を解消していくことで、信頼のおける安全プランはつくりあげられていきます。

パターン② 1つの情報源にのみ頼っている

  • 2つ目の不十分なプランのパターンは、安全プランを作成する際に、1つの情報源のみを基にしているものです。新型コロナ対策については、CDCや連邦政府機関のOSHA、州政府、ローカル政府(カウンティや市)からそれぞれガイドラインが発信されています。

  • よくあるのは、CDCのみ、または州から出された規定のみを見て、安全プランを書いているパターンです。1つのリソースだけでは、間違った基準、或いは雇用主の業態に合致していない基準で安全プランが書かれている可能性があるので、注意が必要です。


3.「小さい単位から、大きな単位」へ。迷ったら厳しい方を!

新型コロナ対策に関しては、国レベル(CDC、OSHA、EEOC:雇用機会均等委員会)が発するガイドライン、そして州政府、カウンティ、市が発するガイドラインがあります。州によっては、国より厳しいガイドラインを出しているところもあります。 では、どうすればいいのでしょうか。

まず、市やカウンティのガイドラインなど「小さい単位」を参考にしましょう。製造業やレストラン業など、業界別のガイドラインもあるので、これもチェックしてください。ローカル規定の次は、州のガイドラインをチェック。最後に国レベルです。もし確認している最中、発信されるガイドラインに違いが生じた場合は、より厳しい基準に合わせるようにしましょう。


4.安全プランは1度作ればよいものではない

国や州、ローカル政府から出されるガイドラインは常にアップデートされています。それに合わせて安全プランを進化させ、同時に、従業員との対話によっても、安全プランをより有効なものにしていく必要があります。この従業員とのコミュニケーションを活性化し一緒に安全をつくることこそが、ポストコロナ社会の「ニューノーマル」と呼ばれる環境です。


(ポッドキャスト後半へ続く~)


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