• 内藤博久

ポッドキャスト:ポスト・コロナでの就業規則について(前半・後半)

2020年8月1日および8月16日に配信したポッドキャストの概要を以下に載せます。

まだ聞いていない方はぜひ、聞いてみてください。

テーマ:ポスト・コロナでの就業規則について(前半後半

コロナ禍において、就業規則の改定に関する依頼が増えています。本ポッドキャストでは、前半で就業規則の書き方(スタイル)、後半でポスト・コロナ社会における就業規則のあり方について解説していきます。

<前半の注目ポイント:就業規則のスタイル、書き方

  1. ポスト・コロナ社会においては、従業員は自分の権利を守るために、通常あまり気にしない就業規則を改めて確認するケースが多い。

  2. 好ましくないスタイルの就業規則とは?

  • 州法、ローカル法が反映されていない 例:NYに来年から施行されるNY州(蓄積は今年から)および2014年からあるNY市の有給傷病休暇が存在する。こういったローカル規定が書かれてないハンドブックは改定が必要。

  • アメリカはコモンロー(判例法)の国であり、判例をもって法律ができるので、就業規則もそれに即したものでなければいけない。例:Protected classが反映されているか、など。選挙のある年は法律が変わりやすいので要注意。

  • 就業規則が従業員目線になりすぎている 就業規則には様々な書き方(スタイル)があるが、就業規則は、基本的に会社や雇用主を守るためにあるべき。また、従業員を守る法律を説明するものだけではなく、法律をベースに会社のルールやポリシーを設定し、従業員に会社ルールに従って働くよう伝えるものであるべき。Progressive discipline(段階的懲戒制度)を就業規則に掲載することは、会社の柔軟性を失いかねないので注意が必要。

  • 親会社の就業規則をそのままグループ会社、子会社が使っている場合 就業規則はカスタマイズしている場合が多いので、そのまま流用することはできないケースが多い。 企業規模によって適応される法が変わる点も注意。

<後半の注目ポイント:就業規則の何を改定すべきか?

後半では、ポスト・コロナ社会において、就業規則を改定する必要があるのか、改定するとしたら何をアップデートすべきか、以下の点について、解説しています。

  1. FFCRA家族第一・新型コロナウイルス対応法(12月31日まで施行される予定) 500人未満の企業に対し、ウイルス感染および子供のケアの必要によって働くことができなくなった従業員に対して、合計80時間の有給傷病休暇を付与する。また最低12週間の給与の補償をすることなどを明記。

  • 復職の保障 新型コロナウイルスの影響で仕事を離れなくいけなくなった従業員に倒して、雇用主はその従業員を同等の役職に復帰させなければならない。

  • FFCRAは従業員の生活を守るための重要な権利。最近、FFCRAをめぐる訴訟が増加しているので要注意。

  • FFCRAの権利は従業員に通知しなければならない。しかし、この通知はかならずしも、就業規則に盛り込む必要はなく、別の形で通知してもよい。「安全対策ポリシー」のように、期限が限定されている法律や常にアップデートがされている新型コロナ関連の法律や規定に関しては、就業規則に盛り込むよりも、別扱いで通知したほうがいい。こういった頻繁に変更される法律を就業規則に盛り込むと、毎回、就業規則を更新しなければならない。また。就業規則を変更する場合は、従業員から承認を取らなければならない。実務的にもかなりの負担となる。

  2.就業規則の何をアップデートすればいいのか

  • コロナ禍において、会社の「働き方」を変えていく場合 リモートワークやテレワークの実施。レイオフ・解雇を避けるためのシフト時間の変更。副業の規定など、これまでにない勤務形態を承認する場合など、会社として新しいポリシーを構築する必要がある。この場合は、就業規則の改定が必要。

  • 法律自体は変わっていないが、コロナ禍において、法律の解釈が変更(強化、厳しくなる)された場合個人情報の扱い:従業員の体調管理などを雇用主が行うことから、メディカル情報など、今まで雇用主があまり取り扱わない情報の管理が求められる。プライバシー規定の確認が必要。 *カリフォルニア州の消費者プライバシー法など また、テレワークを許可した場合、機密情報、営業秘密(トレードシークレット)を守るためのセキュリティ管理を強化しなければならない。

  • 全国労働関係法の労働者の権利に注意する。コロナ禍において、従業員が団結する、または団体交渉する権利を妨げる行為は禁止されている。会社のコロナ体制にクレームすることや、便宜を求める従業員が雇用主に交渉を求めることができるか、その際に不利益な扱いをされることがないよう、就業規則の内容を確認する。特に、就業規則の行動規範において、全国労働関係法に規定される従業員の権利が制限されていないか確認する。

  • その他、会社内で従業員が勧誘や政治活動をすることを制限する規定を設定。

ポスト・コロナは、就業規則を見直すのに良い機会です。コロナ禍において、従業員から出される質問やリクエストに、就業規則に従って対応できるよう準備しておくことが重要となります。そして、コロナに対応していない会社ルールやポリシーについては、内容のアップデートが必要となります。


このポッドキャストに関する質問は、hnaito@mosessinger.comまで、日本語でお気軽にお問い合わせください。なお、本ポッドキャストは、録音時の情報に基づいており、現在とは情報が異なる場合があることを、予めご了承ください。最新コンテンツやアップデート情報などをいち早くご希望される場合は、ニュースレターへの登録をお願いいたします。

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